詰めもの料理と詰まった料理

詰めもの料理や詰まった食べもの日々研究・探究の記録です

【詰まった団子】蓬・笹・イグサのトリプルアロマ:笹団子

詰めもの料理研究家として、ぜひ紹介したいお菓子があります。
「粒あんを蓬団子に詰め、さらに笹の葉に詰める」
そんなダブルに詰めものなお菓子、笹団子です。

笹団子は新潟の郷土菓子。その名のとおり笹を使用した団子菓子です。団子生地は餅粉と米粉で蓬を混ぜた草団子、餡はつぶ餡が一般的。笹の葉数枚に包んで蒸して(茹でて)イグサなどの紐で5個もしくは10個繋げたスタイルで販売されています。

新潟は田中屋本店より取り寄せました。
餡は「つぶあん」とオリジナルの「黒崎茶豆」をチョイス。つぶあんは甘さ控えめの蓬団子との相性よく鉄板な美味しさ。黒崎茶豆は白餡と茶豆(枝豆)が混ざり合った餡で、ほのかな塩味と枝豆の青っぽさが後をひきます。

田中屋本店ではこの他「きんぴら」「あらめ」などの餡があります。「きんぴら」はきんぴらごぼう、「あらめ」は佐渡特産の海藻あらめとひじきの佃煮様で、どちらも「甘くない餡」。信州の「お焼き」に近い感じでしょうか。
ちなみに甘くない餡の笹団子は「男団子」と呼びます。餡がまったく入っていない草団子だけのものもあるのですが、これも「男団子」と呼ぶそうです。対して「女団子」は小倉餡などの甘い餡。なぜそう呼ぶのか由来は定かではないものの、ニュアンス的にわかる気がします。

「笹で包んだ団子」なので笹団子。戦国時代、携帯食とするべく殺菌作用がある笹を包材に使ったという由来がありますが、笹で包むことによって美味しさもアップしています。
まず、香り。草の香りが一般的な草団子より濃厚です。蓬の濃さはもとより包んでいる笹と結わえているイグサの香りが加わって、草っぽさが三位一体となっています。写真のようにバナナ様に剥き一口囓ると、口いっぱいに広がる緑のアロマ。見た目も一般的な草団子より緑色が濃く、香りの濃さを物語っています。
そして食感。もちっとしつつも歯切れのよい適度な噛みごたえ。笹の葉が程よい乾燥を促し、打ち粉やセロファンで包んだ草団子とは異なる味わいです。

笹に包まれている独特の容貌が特徴なれど、笹はかさばるしイグサの紐を解くのは正直面倒臭い。
そう思いながらも剥いてしまうのは、笹で包んだ笹団子でしか味わえない美味しさがあるからだと思います。
延いては包むことにより存外な美味しさになるということ、笹団子に限らず詰めもの料理全般の魅力と言えましょう。

紐で連なっているのが常な笹団子ですが、コンビニでバラで見かけるようになりました。リンク先の商品は季節限定ですが、産地以外でバラで扱っているのは珍しいので、ぜひ通年商品としていただきたいところです。